2009年 01月 24日
写真家さんの授業④ 生徒の目の優しさが写りました。 |
東京から写真家越田悟全さんをお迎えしての授業です。
この授業の前後の、全体の流れを説明します。
本校の芸術・美術Ⅰの授業では2006年度より校外のMIHO MUSEUM(信楽町)の学芸員さん、陶芸家さん、滋賀文化芸術体験サポートセンターのボランティアさんたちを学校へお招きした授業、‘連携授業’を行っています。1年生の美術Ⅰでは『うましうるはしZEZE VERSION』というプログラムを全8時間の内容で行います。これはMIHO MUSEUMで開かれた尾形乾山の展覧会を記念して発刊された『美し(うましうるはし)乾山四季彩菜』(乾山作の器に実際に料理を盛り付けて撮影された写真集)を題材に、この展覧会や写真集を企画された学芸員さんによる乾山や用と美についての鑑賞授業、それを受けて生徒が陶芸で器を制作し、完成した器を自宅に持ち帰り、実際に料理を盛って使用しその様子を写真撮しレポートとともに提出する、という内容です。
今年度は写真を撮るという内容を充実させるため、美術館学芸員さんのご協力もあり、この写真集を撮影された越田悟全氏が学校に来られ「写真を撮るということ」と題した講話と写真撮影の活動を指導していただきました。きっかけとしては技術面的な指導ということから出発したのですが、それよりもせっかく写真家さんに来ていただくのだから、その人に出会い、想いに触れる、それが第一だと考えるようになっていきました。事前の打ち合わせの中で、「写真を上手に撮る、ということは所詮短い授業ではできないだろう。写真を撮る、そして撮られる喜びを感じたり、一人ひとりの個性と存在を尊重する、ということをテーマにしよう」という越田さんからのご提案もあり、授業のテーマも『写真を撮るということ』という、写真だけに限らない、人と人が交わったり生きるという本質的なところを伝えようという授業になっていきました。
授業は1時間です。
(2日間にわたり、同じ授業が3回ずつ、計6回!ありました。
越田さん、おつかれさまでた。ほんとうにありがとうございました!)
最初に越田さんのお話や、ドラえもんの絵を描いて個性や構図を考えたあと、いよいよデジカメを使った撮影です。内容は、まずくじ引きで3人組み(もちろん男女混合。美術の時間ではよくやります)を作り、一人が撮影者、一人がモデル、一人がレフ板持ちをします。レフ板はカルトン(画板)に画用紙をはった簡易の反射板で、これを使うと顔の陰がやわらかくすこし明るく(薄く)なったり、瞳の中に、キラッと輝きができたりします。
ルールとしては『うましうるはし』の連携授業で最終レポートとして出す写真の作者を示す顔写真を撮る(責任重大!ということにして)、レポートの横に添える、モデルは撮影者の指示に従うが嫌なことは拒否できる、モデルさんの気持ちを尊重すること、相談して撮ること、その人らしい、自分らしい写真を撮る。美術教室の中にあるものや人は何でも使ってもいい、ということにしました。
それと、失敗したかな、と思う写真でも残しておくこと。後々、いいと思える時も来る、という越田さんのお話から続いています。
↓レフ板の使い方がちょっとちがいますが、これももちろんアリです
この授業では、生徒たちは写真を撮るということを通し、新しい視点と感動を与たようです。初対面に近いメンバーの組み合わせでも、話をしないといけません。声に出して言わないと伝わらないこともある。それで生まれる交流、自他の尊重へもつながっていく。
自由に、撮ることを生徒たちは大いに楽しんだことを、私は生徒たちが撮った写真を見て、再び確信しました。
その表情、その目の優しさは、私が普段見ている目とも異なっていたのです。こういう目、写真の中のすこし照れたようなしかし純真な目を、正直、初めて見ました。
生徒と生徒の対話の目は、こういう目なのかもしれません。
追記:こういう授業を受けたあと、
連携授業『うましうるはし』の最終レポートで
自宅で自作の器に料理を盛って撮る写真がどんなものになるか、
とても楽しみです。。。
関連
越田氏の紹介
美術と自然と教育と:
「授業にカメラを」の具体的な授業の例が公開されています
この授業の前後の、全体の流れを説明します。
本校の芸術・美術Ⅰの授業では2006年度より校外のMIHO MUSEUM(信楽町)の学芸員さん、陶芸家さん、滋賀文化芸術体験サポートセンターのボランティアさんたちを学校へお招きした授業、‘連携授業’を行っています。1年生の美術Ⅰでは『うましうるはしZEZE VERSION』というプログラムを全8時間の内容で行います。これはMIHO MUSEUMで開かれた尾形乾山の展覧会を記念して発刊された『美し(うましうるはし)乾山四季彩菜』(乾山作の器に実際に料理を盛り付けて撮影された写真集)を題材に、この展覧会や写真集を企画された学芸員さんによる乾山や用と美についての鑑賞授業、それを受けて生徒が陶芸で器を制作し、完成した器を自宅に持ち帰り、実際に料理を盛って使用しその様子を写真撮しレポートとともに提出する、という内容です。
今年度は写真を撮るという内容を充実させるため、美術館学芸員さんのご協力もあり、この写真集を撮影された越田悟全氏が学校に来られ「写真を撮るということ」と題した講話と写真撮影の活動を指導していただきました。きっかけとしては技術面的な指導ということから出発したのですが、それよりもせっかく写真家さんに来ていただくのだから、その人に出会い、想いに触れる、それが第一だと考えるようになっていきました。事前の打ち合わせの中で、「写真を上手に撮る、ということは所詮短い授業ではできないだろう。写真を撮る、そして撮られる喜びを感じたり、一人ひとりの個性と存在を尊重する、ということをテーマにしよう」という越田さんからのご提案もあり、授業のテーマも『写真を撮るということ』という、写真だけに限らない、人と人が交わったり生きるという本質的なところを伝えようという授業になっていきました。
授業は1時間です。
(2日間にわたり、同じ授業が3回ずつ、計6回!ありました。
越田さん、おつかれさまでた。ほんとうにありがとうございました!)
最初に越田さんのお話や、ドラえもんの絵を描いて個性や構図を考えたあと、いよいよデジカメを使った撮影です。内容は、まずくじ引きで3人組み(もちろん男女混合。美術の時間ではよくやります)を作り、一人が撮影者、一人がモデル、一人がレフ板持ちをします。レフ板はカルトン(画板)に画用紙をはった簡易の反射板で、これを使うと顔の陰がやわらかくすこし明るく(薄く)なったり、瞳の中に、キラッと輝きができたりします。
ルールとしては『うましうるはし』の連携授業で最終レポートとして出す写真の作者を示す顔写真を撮る(責任重大!ということにして)、レポートの横に添える、モデルは撮影者の指示に従うが嫌なことは拒否できる、モデルさんの気持ちを尊重すること、相談して撮ること、その人らしい、自分らしい写真を撮る。美術教室の中にあるものや人は何でも使ってもいい、ということにしました。
それと、失敗したかな、と思う写真でも残しておくこと。後々、いいと思える時も来る、という越田さんのお話から続いています。
↓レフ板の使い方がちょっとちがいますが、これももちろんアリです
この授業では、生徒たちは写真を撮るということを通し、新しい視点と感動を与たようです。初対面に近いメンバーの組み合わせでも、話をしないといけません。声に出して言わないと伝わらないこともある。それで生まれる交流、自他の尊重へもつながっていく。
自由に、撮ることを生徒たちは大いに楽しんだことを、私は生徒たちが撮った写真を見て、再び確信しました。
その表情、その目の優しさは、私が普段見ている目とも異なっていたのです。こういう目、写真の中のすこし照れたようなしかし純真な目を、正直、初めて見ました。
生徒と生徒の対話の目は、こういう目なのかもしれません。
追記:こういう授業を受けたあと、
連携授業『うましうるはし』の最終レポートで
自宅で自作の器に料理を盛って撮る写真がどんなものになるか、
とても楽しみです。。。
関連
越田氏の紹介
美術と自然と教育と:
「授業にカメラを」の具体的な授業の例が公開されています
by taruto789
| 2009-01-24 23:26
| 校外との連携授業